人生において、私たちは常に選択を迫られます。

それは時に、前進するための重要なステップとなることもありますが、時にはうまくいかない選択もあります。

私もその両方を経験してきました。特に、病気と向き合う中での選択は、いつも自分の力や未来に大きく影響するものでした。しかし、すべての選択がうまくいったわけではありません。

クローン病と診断され、何度も入退院を繰り返していた頃、私は度重なる手術や治療に心身ともに疲れ果てていました。未来への希望が見えなくなり、次に何を選べば良いのかさえも分からなくなった時期がありました。その中で、私は時折、自分の苦しみを避けるために間違った選択をしてしまったことがありました。

たとえば、体調が悪い時に無理をして仕事を続けるという選択です。講師や演奏家としての活動を中断することは、自分にとって大きなリスクだと感じていました。だからこそ、どんなに体調が悪くても「大丈夫」と言い聞かせ、自分を追い込んで仕事を続けてしまったのです。その結果、体調はさらに悪化し、長期にわたる休養が必要になりました。あの時、自分を大切にする選択をしていたら、何かが変わっていたかもしれません。

また、絶望の中で「何もかも諦める」という選択をしたことがありました。演奏活動ができなくなるほど、病状が悪く、体力も精神力も限界に達した時、自分の人生に希望を見出すことができなくなっていました。

へとへとだった私は、未来に対する諦めの気持ちが強くなってしまったのです。自分の中にある、怒りや焦り、嫉妬という感情は、自分の心をも攻撃しました。苦しくてたまらず、自分を閉じ込める選択をしてしまいました。誰にも相談せず、自分の心に蓋をしてしまったのです。

振り返ると、それが私の選択の中で最も大きな過ちだったかもしれません。もし、あの時誰かに心を開き、助けを求めていれば、違う道が開けていたかもしれません。

この頃、多くの間違った選択をした私です。

あまりにも辛くて、苦しくて、私は精神科に通うようになりました。睡眠薬や安定剤では、心の平穏が保てず、どんどん薬は増え、どんどん強い薬になっていきました。幸いなことに、たまたまお見舞いにきた友人が私を救ってくれました。

彼女は町の精神科の病院に勤めていて、私の処方された薬を見るなり「あなたが飲む薬じゃない」と、強く言いました。私は少し驚きましたが、彼女の言葉にただ事ではない気がして、その薬をすべて返しました。

あの時、彼女の言葉がなければ、私の心はもっと深く沈み、浮上できなかったかもしれません。彼女のおかげで、闇の中に沈み込むことを自分で止めることができました。その後、震災で被災するまで、心は閉じたままでしたが、あの薬を飲んでいれば、震災後も何も変わらなかったように思えます。自分の心が弱ると、目の前にきた負のスパイラルに飲み込まれていきます。ひとつ選択を間違えると、どんどん間違えます。それを知った出来事でした。

この経験から、私は学びました。

選択は自分の人生を左右します。それほど重要なのです。間違った選択をしてしまうこともありますが、それをどう修正するかが大切なのだと。

失敗から学び、それを次の正しい選択に繋げることができれば、再び前に進むことができます。選択がうまくいかない時でも、その選択が無駄になるわけではありません。それは成長の一部であり、人生の教訓となるのです。

今では、間違った選択をした自分を責めることはありません。むしろ、それがあったからこそ、今の私がいるのだと感じています。選択がうまくいかない時もあるかもしれませんが、その時には再び選び直す勇気を持ち続けたいと思います。

12月に闘病記を出版します。

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『幸せを向いて生きる』
クローン病を乗り越えた「選択」のチカラ

 著:さくらいりょうこ
 出版:星湖舎

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本ができあがりましたら、あらためてお知らせいたします。

1月16日(木)の夜に大阪で出版記念パーティーを開催します。お越しになられたい方は、お問合せからメッセージください。

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