先日、ある食事会に招かれて、初めて訪れる町へ足を運びました。
知らない場所の道に迷ってしまい、どこへ向かえばいいのか途方に暮れていると、不意に甘い香りがしてきました。
ふわりと広がる金木犀の香り。
その瞬間、思わず涙が頬を伝い、胸の奥から言葉にならない感情が湧き上がってきたのです。
自分では、もうずいぶんと過去の出来事を受け入れてきたつもりでした。けれど、香りに触れたことで、心の奥底にまだ整理されていない思いが眠っていることに気づかされたのかもしれません。
実家の庭には金木犀の木がありました。小学生の頃、学校へ行くのが憂鬱な日も、その香りを嗅ぐと、なぜか心が軽くなり、元気に登校し、楽しい一日を過ごした記憶があります。金木犀はいつも、私にとって励ましのような存在だったのです。
それから年月が経ち、社会復帰に向けて努力していたある日、体の痛みと不安に押しつぶされそうになりながら会社に向かっていました。歩くのも辛く、途中の駅までの道でとうとうしゃがみ込んでしまったとき、また金木犀の香りがふわりと漂ってきたのです。その瞬間、何かに包まれるような感覚があり、不思議と立ち上がる力が湧いてきました。そしてその日はなぜか気持ちが軽く、久しぶりに楽しい一日を過ごせました。
翌朝、「またあの感覚が得られるかも」と期待して、金木犀の香りを感じながら出かけましたが、あの不思議な感覚は再び現れることはありませんでした。毎日毎日、金木犀の木のそばを通って香りを嗅いでみても、同じ気持ちにはなれなかったのです。それでも、それがきっかけで私は「小さな幸せ探し」を始めるようになりました。日常の中の些細な幸せを見つけることで、少しずつ前を向いていこうと心に決めたのです。
そして、先日、またあの香りがふわりと私のもとにやってきました。何の前触れもなく、知らない町で迷子になった私にそっと寄り添うように。
金木犀は、きっと私に何かを伝えようとしてくれているのでしょう。過去の思い出に寄り添いながら、これからの道も歩んでいくためのメッセージなのかもしれません。
ふと訪れる香りに導かれて、自分の心の声に耳を傾ける。そんな一瞬が、人生にとってとても大切なのかもしれないと感じています。金木犀が私に教えてくれるこの思い出たちを、これからも心に大切に刻んでいこうと思います。
12月に出版します。
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『幸せを向いて生きる』
クローン病を乗り越えた「選択」のチカラ
著:さくらいりょうこ
出版:星湖舎
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この本には、そんな私の思いと、これまでの歩みが詰まっています。 本ができあがりましたら、あらためてお知らせいたします。
1月16日(木)の夜に大阪で出版記念パーティーを開催します。お越しになられたい方は、お問合せからメッセージください。
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2022年4月1日より下記に変更しました。
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