第4話:入ってくるものに気づけた日

※この記事はシリーズ第4話です。
入院やICUでの体験、退院後の不安と回復については、こちらをご覧ください。

【前編】「クローン病の合併症でICUへ:それでも“幸せを向けるか”を問い続けた日々」
【後編】「〜自分で選んだ“回復への第一歩”〜」
【第3話】「“ないもの”ばかり数えていた私が、“あるもの”に気づいた日」


先日、ふと目に留まったネットニュース。
何気なく開いたその記事は、まるで「これまでの私のことが書いてあるのでは?」と思うほど、ズシっと心に刺さる内容でした。

▶ 記事はこちら(mi-mollet)
捨てたら入ってくる、はウソ!?手放しても何も変わらない人に共通すること【エディター昼田祥子さん】
https://mi-mollet.com/articles/-/54076?layout=b


特に印象に残ったのは、こんなキーワードでした。

  • TODOに振り回されていた日々
  • 入ってきてほしいものを限定していた
  • 大きな変化しか見ていなかった

ああ、全部私だ…と(笑)


私はこれまでずっと、「やれることはすべてやる!」と決めていて、毎日TODOに追われていました。でも、この記事を読んで、振り返ってみると、それは「やらなくてもいいこと」を自分で増やしていたことに気づきました。

例えば、「今日はやることがないな」と思った瞬間に、「いやいや、○○をやらなきゃ!」と、やることを作り出してく・・・。そうやって、いつも自分で自分を忙しくしていました。

それは「不安」から来る習慣だったのだと思います。


そして、もうひとつ。

私は、入ってきてほしいものを「限定」していたことにも気づかされました。

お金に対する不安は、私の人生の中で常に背景にあります。だからこそ、「お金につながる仕事をしなければ」という思いが強くて、「自分にできるのは講演だけ」と決めつけていました。

でも、それは視野を狭める原因になっていたんですね。
「この道しかない」と思い込むことで、ほかの可能性をシャットアウトしてしまっていたのは自分だったのです。


さらに、私は「劇的な変化」ばかりを求めていたところもありました。

人生において、何度か大きな転機があった私。
その経験があるからこそ、「また劇的な変化が起きるかも」「今のこの感じ、なにかの前触れかも」と、“ドラマチックな未来”ばかりに目を向けていたように思えます。

でも、それって、「今」をちゃんと見ていなかったということですよね。


今回の入院がなければ、きっと私はこのまま走り続けていたと思います。

これまでにも「死を意識した経験」はありましたが、今回ほど苦しみ、不安に支配されたことはありませんでした。

私が未来を思うとき、そこにあるのは「希望」ではなく「不安」だったのです。

「この先、どうなるんだろう」
「また悪くなったらどうしよう」
「仕事は続けられるのかな」

そんなことばかりが頭に浮かびました。


そんな私を変えるきっかけが、入院中の気づきや、第3話に書いた「小さな習慣」、そしてこのネット記事でした。

“入ってきているもの”に目を向けることの大切さ。

それが、ようやく腑に落ちたのです。


生きているのは、「今、この瞬間」。
未来は誰にもわかりません。

だったら、「そのとき考えればいい」。

これも、講演でよく話していたのに、自分のこととなるとさっぱりですね。本当に反省です。

今回の入院も、まったく予想していませんでした。入院当日のレッスンのことも、二週間後の講演のことも、「そのとき」考えて、対処しました。もちろん、迷惑や心配をかけましたが、そうするしかなかったのです。

だったら、これからのことも、「そのとき考えればいい」だけなんです。「こうなったらどうしよう」と未来を憂うことはまったく必要なかったことに気づけました。


今の私は――

欲を言えば、もっとこうなりたい、ああなったらいいなという思いはあります。

でも、ちゃんと生きてます。
ちゃんと生かせてもらってる。

・今月の家賃も払えた
・電気代も払えた
・スーパーで買い物ができた
・食材を使い切ることに達成感を覚えている(笑)
・自炊が楽しい
・窓の外は今日もいい天気
・窓を開けて深呼吸しよう!


今月の末には講演があり、来月はステントの除去と結石の破砕入院。オンライン教室のオフ会もあるし、大切な講演もいくつか控えています。忙しそうに思うけれど、淡々と作業をすれば、準備はちゃんと進んで、今日はやることがありません。

明日も特にありません(笑)
明後日も、明明後日も。

実家の母に会いに行くことにしました。久しぶりに、ゆっくり過ごしてこようと思います。


以前の私なら、こんなふうにぽっかり空いた時間があると、「何かしなくちゃ」と予定を詰め込んでいたでしょう。

でも、もうそんなことしなくていい。
「やらなくちゃいけない」から解放されたように思えます。

今、私の中にあるのは「気が楽」という感覚。

やっと「入ってきているもの」に気づきはじめました。

なんだか幸せです。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。


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