高校の同級生が、入院中の私に、こんな励ましの言葉を送ってくれました。


大逆転は、起こりうる。
わたしは、その言葉を信じない。
どうせ奇跡なんて 起こらない。
それでも人々は無責任に言うだろう。
小さな者でも大きな相手に立 ち向かえ。
誰とも違う発想や工夫を駆使して闘え。
今こそ自分を貫くときだ。
しかし、そんな考え方は馬鹿げている。
勝ち目のない勝負はあきらめるのが賢明だ。 
わたしはただ、為す術もなく押し込まれる。
土俵際、もはや絶体絶命。


一見、絶望から始まり、じわじわと希望へと向かうこの言葉。これは、百貨店「そごう・西武」が2020年に展開した広告コピーで、 “小さな者でも、自分の信じた道で立ち向かう”という強いメッセージが込められています。

キャンペーンのテーマは――
「わたしは、私。」

常識や不安に押しつぶされそうなときこそ、自分の軸で生きる。その姿勢が、じわじわと胸に響きました。


言葉を贈ってくれた彼は、高校の同級生で、今はある会社の社長さん。1月にあった同窓会で、30年ぶりくらいに再会しました。

そのとき私は、オカリナを演奏する機会をいただき、「阪神・淡路大震災から30年ですね」と声をかけました。

「30年前を思い出してみて。
すごくがんばってきた自分が、そこにいるよね。」

そんなふうに伝えた私の言葉と演奏が、そこにいた皆の心に響いたようでした。


会の終わり際、彼が声をかけてくれました。

「講演って、頼めたりする?」

そのご縁から、来月、東京での講演に招いていただくことに。しかも、大手企業が集まる大きな場です。

打ち合わせを重ねる中で、彼の熱い思いや誠実さに、何度も胸を打たれました。

「この講演、大切に届けたい」と心から思っています。


そんな中での、突然の入院。

不安と焦りが入り混じるなかでも、彼はいつも、やりとりのメールに力強い励ましの言葉を添えてくれました。

そのひとつひとつが、私の心の状態に驚くほどぴったりで、 そのたびに生きる力が湧いてきました。


今回の言葉も、そのひとつ。

この言葉、下から読んでみると、まったく違うメッセージに生まれ変わります。最後まで読んだ瞬間、涙があふれました。

どんな状況にいても、自分の信じる道を歩こうとするその言葉が、今の私に、まっすぐ届いたのです。

下から読んでみましょう…


土俵際、もはや絶体絶命。
わたしはただ、為す術もなく押し込まれる。
勝ち 目のない勝負はあきらめるのが賢明だ。
しかし、そんな考え方は馬鹿げている。
今こそ自分を貫くときだ。
誰とも違う発想や工夫を駆使して闘え。
小さな者でも 大きな相手に立ち向かえ。
それでも人々は無責任に言うだろう。
どうせ奇跡なんて起こらない。
わたしは、その言葉を信じない。
大逆転は、起こりうる。


言葉の力って、すごいですね。

そして、こういう言葉を選んで、送ってくれる人がいることにも、深く感謝しています。


人生には、どうにもならないように思える瞬間があります。
もう終わりだと思ったその先に、まだ道が続いていることもある。

だから私は、信じてみようと思います。
「大逆転は、起こりうる」と。


今、私は、まだ生きている。
まだ、生かしてもらえている。

試練の多い人生だけれど、幸せを向いて生きていきたいと思います。


「わたしは、私。」
これからも、そんな自分でいたいです。


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