社会復帰と、助けを求めるという選択

このブログは、連載シリーズ《欲と目標》の第4話です。
これまでの回はこちらからどうぞ。

▶︎【第1話】ただ夢中だったあの頃
▶︎【第2話】夢を失った日々の中で
▶︎【第3話】すべてが崩れ落ちたとき、私は“生きる”を選んでいた


社会復帰をしようと思ったとき、私ははじめて、自分の病気のことを人に話すようになりました。隠すつもりもなかったけれど、それまでは、あえて言うこともありませんでした。

でも、働こうとしたとき、どうしても説明が必要だったのです


「時々、入院するかもしれません」
「急に休むことがあります」

そう言う勇気が、私には必要でした。


「生きる」と決めたあと、次は、「働く」と決めました。

当時の私にとって「生きる」ことは、自分の力で、生活をつくっていくことでした。それが「生きている」実感につながっていました。

でも、まだまだ私は弱かった。
自分でどうにかする力もない。
周りの人に、どうやって頼ればいいのかもわからない。

どうにもならない現実の中で、私は――「助けて」と言うことを、決めたのです。


すると、不思議と助けてくれる人が現れました。

いろんなアルバイトを紹介してもらい、働かせてもらいました。

何もできない私。
病気で入院ばかりするし、すぐに休んでしまう。

それでも、私のがんばりを見守ってくれる人たちと出あえたのです。感謝しかありません。


体調は良くなったり悪くなったりをくり返しながらも、少しずつ「できること」が増えていきました。

私の性格が災いして、仕事を転々としましたが、どの職場でも、応援してくれる人がいてくれました。今でも連絡をくれる人もいます。

本当にありがたいことです。


私は、自分のことで精一杯で、人の役に立つようなことなんて、何もできていません。

それは今も変わっていません。

でも、いつか――
人の応援ができる人になれたらいいな。

そんな気持ちは、どこかにずっとあります。


今の私にできることは、この経験を伝えることだけかもしれません。それが役に立つかどうかは、わかりません。

でも、「やる」と決めたら、止まっていた時間が、また進みはじめる。

私は、そんなふうに感じています。

今の私は、ちょっと弱っています。
でも、それでもいいと思っています。

生きるエネルギーは、自分の内側から湧いてくるものだから。

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