人の心は、音だけでなく「色」や「形」にも動かされます。舞台に立つときの衣装…それもまた、ひとつの音楽です。オカリナフェスティバルという場で、私はそのことをあらためて感じました。「衣装」という視覚的な要素が、その場をより豊かにし、心を弾ませてくれます。

この記事では、大阪オカリナフェスティバルの舞台裏で生まれた、「水玉」から始まり、今年のテーマ「赤」へと受け継がれてきたドレスコードの物語をご紹介します。

衣装が人と人をつなぐ温かさと楽しさ。そして、ユニクロのワンピースに手作りのスカーフを合わせる小さな工夫から見える、音楽の新しい魅力に迫ります。

ステージ衣装は「特別なもの」でなくてもいいのです

10年ほど前、はじめて見に行ったオカリナフェスティバルでのことでした。
当時は、同じ色のTシャツにジーンズといった、いわば“カジュアルな集まり”という雰囲気でした。

もちろん、それも音楽を楽しむひとつの形です。
でも、とっても大きな舞台での演奏ですから、日常の延長線上では、なんだかもったいないなあと感じてしまったのです。

やがて、私の教室の生徒さんたちがそのフェスに出演することになったとき、私はひとつお願いをしました。

「せっかくだから、衣装にもこだわってほしい」
「綺麗なだけでなく、印象に残るように」
「でも、お金はかけないで。負担にならない程度でね」

すると、生徒さんたちは本当に楽しそうに衣装選びを始められました。
そこからでした。教室の雰囲気がどんどん明るくなり、
仲の良いチームがいくつも生まれてきたのです。

みんなで決めた衣装でステージに立つのは楽しく、あとから写真を見るのもひとつの楽しみになりました。

この「ひと手間」が、チームの絆を深めていったのです。

ステージ衣装は、なにも高価で特別なものである必要はありません。ちょっとした工夫で、立派なステージ衣装になる。おしゃれな生徒さんたちに、私のほうが教えてもらいました。

その後、ステージのバックヤードのスタッフさんが「リーナさんとこは楽しいねえ」と、毎年声をかけてくださるようになりました。

緊張よりも、うれしさがこみあげてくる。そんなフェスの一日になったようです。

水玉のドレスコードが生んだ笑顔

そのフェスが20回で幕を閉じたあと、「じゃあ、大阪で新しいフェスティバルを開こう」と、
リーナ★リーナの生徒さんたちが実行委員会を立ち上げ、大阪オカリナフェスティバルが始まりました。

そして、私は思い切って提案しました。
「フェスの特色を出したいから、ドレスコードを入れよう」と。

実行委員会では、さまざまな意見が飛び交いました。「そこまでしなくていいんちゃうん」という、もっともな声も多くありました。けれど私は、音楽の力だけでなく、会場全体で特別な空気をつくりたかったのです。

最初のテーマは、あえて少し挑戦的な「水玉」。

強行突破のように思えたかもしれません。案の定、いろんな方から「え?水玉?」と違和感をもたれました。「全身じゃなくても、どこかに水玉を取り入れてね」と伝えたのですが、普段着ではなかなか見かけない柄だけに、ハードルが高かったようです。

それでも、「水玉ね!」と笑顔で応えてくださった方々が、第一回の参加者さんたちでした。

フェス当日、会場のあちこちで「水玉、すごく探したのよ〜!」という、笑い交じりの声が聞こえてきました。その会話を耳にしたとき、みんなうれしくなりました。

ドレスコードは「人と人を結ぶ力」

ドレスコードを通して、知らない人どうしが言葉を交わし、笑顔が生まれていく。
あの瞬間、「あ、これだ」と確信いたしました。ドレスコードは、単なる「服装の決まり」ではありません。それは、人と人を笑顔で結ぶ小さな工夫だったのです。

2回目のテーマは「花柄」。

このころにはもう、ドレスコードは“みんなで楽しむ風景”のひとつになっていました。「せっかくのフェスだから楽しもう」という空気が、会場全体にゆるやかに広がっていました。

男性が花柄を着るのはなかなか珍しく、アロハやかりゆしなど南国風の派手な装いが並びました。結果として、女性より男性のほうがずっと華やかに見えるという面白い現象に。

中にはステージで手品を披露し、本当に花を出した方もいらっしゃいました。そのときの歓声と笑顔。

フェスは“みんなで楽しむ場”になっていったのです。

なぜ、今年のテーマは「赤」なのか

実は、ドレスコードを言い出したときから、「大阪といえばアニマル柄」と思っていました。
なんとなく、わかりますよね?

実行委員会も「それは楽しい!」と乗り気でした。ヒョウ柄はちょっとムリ……と言われそうですが、アニマルですから、犬でも猫でもうさぎでもいいのです。

そして3回目のドレスコードを決めるとき、「もっとフェスの楽しさを広げたい」という声が上がりました。そこで今年のテーマは「赤」。「誰もが取り入れやすいテーマ」にしよう、と決めました。

情熱の赤。
ステージ映えする色であり、オカリナの音色をより情感豊かに彩ってくれる色です。

今年は、皆さんがどんな“赤”を見せてくれるのか、今からとても楽しみにしています。

2,000円のワンピースと、手作りの赤いスカーフ

今回、私は生徒さんとのデュオで出演します。

衣装は、ユニクロで買った紺色のワンピース(2,000円!)。
そこに、生徒さんたちが去年の発表会で使っていた赤いスカーフと、
バラのコサージュをお借りしました。

そう、人に借りるのも“あり”ですよね。

そのスカーフは、生徒さんたちがオーガンジーの赤い布を切って作ったもの。
それだけなのに、本当に華やかです。

衣装って、「それでいい」と思いませんか。
誰かの工夫や想いが加わることで、
ステージがぐっと温かくなる気がします。

ある生徒さんは、以前フェスに出るために、真っ赤なスーツを新調されました。
身長180cmを超えるその方は、どこにいても目立つ存在。
みんなで写真を撮ると、スターとお取り巻きみたいになるくらいの“赤”です。

今年もそのスーツで出るというので、
「金髪のかつらをかぶって、カズレーザーみたいにして!」とお願いしてみたのですが……
残念ながら却下されました(笑)。

でも、そうやって笑い合えるのも、フェスの魅力です。

音楽を楽しみ、人を楽しみ、そして自分を楽しむ

オカリナフェスティバルのドレスコードは、
単なる「服装の決まり」ではありません。

ちょっとした色、ちょっとした小物。
それだけで、空気が変わり、笑顔が増えていくのです。

音楽を楽しみ、人を楽しみ、そして自分を楽しむ。

それが、フェスの“ドレスコード”の本当の意味なのかもしれません。

気づけばこのブログ、衣装選びについて書くつもりが、すっかりドレスコード推しになっていました。

チームで色をそろえるのがよくあることだとすれば、会全体でそろえるのも、ありだと思いませんか。

楽しいと思えたら、
その先に、もっと楽しいが待っています。


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